高いセルフイメージを持つことが大事だ…という話を一度は聞いたことがあるかもしれません。
しかし、もしあなたがどんなに理想を追いかけても、一向に現実が変わっていないなら、「虚の自分」を疑ってみることが必要です。
「虚の自分」とは、わかり易く言うと、今の現実を正しく認識しないまま、理想の自分ばかりを見て、その気になっている状態、もしくは理想に引っ張られすぎて地に足が付いていない状態を指します。
理想と現実の違いを正しく認識できていないという点では「理想があいまい」な人と同じですが、
「虚の人」は自分を知らないまま理想に引っ張られているので、勘違いを起こしやすく、改善すべき点に気が付けないという意味で厄介です。
しかし、この状況に陥っている人は意外と多いと思います。特にポジティブ思考が強い人に多く見受けられます。
人をモデリングする時、影響力の強い人、例えば、世界的に活躍している大手企業のCEOやプロ選手、年収何億も稼ぐコミュニティのトップリーダーや芸能人など…誰もが知っている有名人を対象にするケースはよくあります。
もちろん、理想が高いのは悪いことではありませんが、モデリングで大切なのは「リアリティ」です。
理想とする人の一部の言葉や行動に共感し感銘を受けるだけでなく、実際に行動し、価値観や信念など目に見えない部分も徹底して真似しなくては意味がありません。
もしあなたが年収1,000万円以下の人なら、 条件がまるで異なる年収数億円のセレブをモデリングの対象として選ぶのは少々、現実離れしすぎていると思いませんか?
あなたが、すでに年収数千万円を稼ぐ人なら、そのような人をモデリング対象にするのは問題ないと思いますが、まだ年収1,000万円を超えていないようなら、いきなり、年収億以上の人をモデリングの対象としても意味がありません。
繰り返しますが、モデリングは行動だけでなく、価値観や信念レベルまで徹底して真似をすることで初めて機能しますから。仮にどうしてもその人を参考にしたいのなら、それはモデリングとは言わず、単なる憧れだと認識してください。
「憧れ」と「モデリング」は本質的に全く異なるものです。
もし、ここまで読んで、「いや、絶対にそんなことはない!信じれば想いは叶う。そんな夢を砕くようなヤツの言うことは信用できん!」と否定する方は今すぐこのページから離れてください。ここから読み進めても腹が立つばかりですので(^^;)
しかし、今、「自分の現状を無視できず、焦りを感じている…そして、一日も早く、現実を作りたい…」と本音で思っている方には、お役に立つ内容だと思うので、ぜひ、この先を読み進めて頂きたいと思います。
そもそもですが、人生において、ラッキーパンチや偶然はあり得ません。仮にあったとしても一瞬で終わり、続くことはありません。
宝くじで大金を当てる人は、それまで何年にも渡り、沢山のお金をつぎ込んで宝くじを買い続けた人です。決して、人生でたった1回の購入で1等1億円が当たったわけではありません。
つまり、「成果(結果)」には理由があるということです。
(参考:記事【成果を生み出す原理原則】)
ところで、J・アレンの「原因と結果の法則」を読まれたことはあるでしょうか?
この本は100年以上前に刊行されて尚、未だに世界中の多くの人から読まれる原理原則の本です。わかり易い日本語版もありますので、ぜひ、一度読まれることをオススメします。理想と現実の絶妙なバランスを見事に表現し、伝えてくれています。
少し話がそれてしまいましたが、私がお伝えしたいのは、「理想を描き、それを実現するために相応しい心で、現実を積み上げていく」ということです。
私の知る限り、遥か遠くの理想の姿ばかりを見て、足元が宙に浮いている人があまりにも多いと感じています。
いくら理想を描いても、「行動」が伴わなければ「現実」は手に入りません。
そのためには今の自分を正しく認識することが必要です。
それを把握するためには以下の質問が効果的です。
- 理想とするビジョンは具体的に描けているか?
- それを実現するために必要な目標は正しく設定されているか?
- その目標を達成するのにふさわしい自分(状態・考え方)か?
- 目標達成に向けて取るべき行動は明確か?
- 十分な行動ができているか?
以下、詳しく見ていきます。
1.理想とするビジョンは具体的に描けているか?
理想とするビジョンは完璧に描けなくても構いません。そもそも実現してもいない未来における理想の自分を完璧に描くことなどとうてい不可能です。そこに時間を割くべきではありません。しかし、「具体的に描けるパーツ」は必要です。
例えば、「10年後に3つの事業で年収3,000万円を実現している自分」がビジョンだとします。ここで必要なパーツはその時の自分は、
- どんな感情を感じているのか?
- 健康状態はどうか?
- 家族はどうか?
- 人脈はどうか?
- それらの人間関係はどうか?
- 収入の経路はどうか?
- それぞれはどのようなビジネスか?
- 貯蓄はどのくらいか?
- 仕事における自分のスキルや経験はどの程度か?
- 日々の時間の使い方はどうか?
- どんなところに住んでいるか?
- 生活環境はどんなものか? など
できるだけリアルに理想の状況をイメージできることが大切です。全てが統合されていればベストですが、上記に挙げたような「パーツ」の1つ1つができるだけ具体的であることが望ましいです。
2.それを実現するために必要な目標は正しく設定されているか?
次に、1を満たすために必要な条件設定をします。大抵は収入でしょう。理想を実現するためには具体的にどのくらい収入が必要なのか?それを明確にしていきます。ここが大雑把すぎると途端、リアリティが無くなってしまうので1で明確にしたパーツを参考に必要な収入の額を設定しましょう。
また、設定される目標は次の条件を満たしている必要があります。
- 具体的であること・・・例)3つの事業で(上記1のパーツ)
- 測定可能であること・・・例)年収3,000万円(数字)
- 達成可能であること・・・例)実現している人がいる
- 現実的か・・・例)現時点では難しいが段階的にいけば可能
- 期限があるか・・・例)10年後
3.その目標を達成するのにふさわしい自分(状態・考え方)か?
ここがとても重要です。「虚の自分」になっていないかをチェックするポイントです。端的に言うと「今の自分を客観的に見ることができている状態」でかつ「モチベーションが高く」、「目標達成に必要なスキル・考え方を備えている」状態です。この自分の在るべき姿がブレてしまうと途端、自分自身のコントロールを失ってしまうので、セルフコーチングや他者からのコーチングを受けるなどして常に良い状態を保てるようにしておきましょう。
4.目標達成に向けて取るべき行動は明確か?
2で正しく設定された目標を行動に落とし込むフェーズです。ここは入念に行いましょう。取るべき行動が具体化されていないと人は行動できません。目標達成に必要な行動は何か?できるだけ効果的なものを具体的に必要な分、洗い出しましょう。ここが上手くできれば、成功は50%約束されます。
5.十分な行動ができているか?
最後に行動です。4で具体化した行動を実際に実行に移すフェーズです。やるべきことは明確なので、あとは実行するだけですが、思ったようにいかないのが人間です。それはビリーフ(信念)と呼ばれる思い込みがあり、それが時として行動を邪魔する要因になってしまうからです。このビリーフを上手く解除または書き換えられるかどうかが、行動を続けられるかどうかのポイントになってきます。
(参考:記事【成果を生み出す原理原則】)
以上、「虚の自分」を知るというテーマを目標達成のプロセスを通じて説明しました。最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ビジネスコーチ 森山洋光
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