前回、状態(ステート)が能力を決めるというお話をしました。状態が良ければ、良いほど、あなたは持っている能力を高いレベルで発揮することができます。
ですから、能力を高めること以上に、いつでも良い状態になれるように訓練することがとても重要です。
スポーツや舞台、営業など、人前で高いパフォーマンスを発揮する人はみな、短時間で良い状態になる技術を身に着けています。(もしくは、常に良い状態で日々を過ごしている)
日米通算4,300本超安打の大記録を打ち立て、今年3月に引退したイチロー選手のルーティンも状態を作るための儀式として有名ですよね。
そこで今回は、「良い状態つくる技術」として、イメージの力を利用する方法をお伝えします。
人間は表象システムと呼ばれる、視覚(V)、聴覚(A)、体感覚(K)で受け取った情報をもとに自分の状態をつくります。
例えば、犬がキライな人は犬を見たり、犬が吠える声を聞いたり、犬に触れたりするだけで恐怖や嫌悪感を抱くと思います。そして、怖くなったり、そわそわしたり、不快を感じたりすると思います。また、実際に見たり、聞いたり、触れたりしなくても、創造するだけで同じような感情を抱くでしょう。
つまりこれは、実際に見たり、聞いたり、触ったり、もしくは、頭の中で姿を想像したり、音を創造したり、感触を創造したりすることによって、特定の感情が湧いてきて、その結果、状態が変わるということです。
ですから、これを逆手にとって、好きなもの、得意なもの、心地いいものなど自分にとってポジティブな情報にアクセス(見たり、聞いたり、感じたり、創造したり) する ことで、よい感情が生まれ、結果、良い状態をつくることができます。
よく、イメージトレーニングが大切といいますが、良いイメージは良い状態をつくる効果がありますから、日常的に自分にとって「良いイメージ」にアクセスする習慣を身につけておきましょう。
例えば、好きなタレントさんや家族の写真を携帯の待ち受け画面にしてみたり、自分の部屋に海外の美しい風景写真や絵画を飾ったり、好きな音楽をかけたり、手触り、肌触りのよい衣類を身に着けたり・・・
どれも無意識でやっている人が多いと思いますが、人は感覚的に自分の状態が良くなる方法を知っているので、その感覚に正直になるというのが大切ですね。
ここまでなら、「そんなの普通じゃん」と言われてしまいそうなので、もう一歩踏み込んでお伝えしたいと思います。
あなたが知りたいのは、「実際に良くない状態を引き起こす環境に身を置いた時」に良い状態を保つ方法だと思います。
例えば、犬が近寄ってきて逃げられない…(また犬!(^^;)
キライな上司が近寄ってきて逃げられない…
今から大勢の前でスピーチをしなくてはいけない…
こういった場面って日常の中でよくありますよね。そして、自分が望まない環境に身を置かなければいけない、もしくはそのような状況を想定した瞬間、不安や恐怖、焦り、居心地の悪さ、不快感など、ネガティブな感情がわいてきます。
そんな時、どうするか?
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答えは、「現実逃避」です!
バカにするな!と言われそうですが、いたってまじめです(^^;)
というのも、先ほどからの話にあるように、人は見るもの、聞くもの、触れるもの、創造するものによって状態が変わります。
そして、今、良くない状態をつくりだしている環境(キライなものや苦手なものを見ている、聞いている、感じている)に身を置いている以上、その環境を変えることはできません。「逃げる」というのも選択肢の一つですが、「逃げられない」から困るんですよね…?(^^;)
だったら、胎をくくって、「現実逃避」しましょう。
ここでいう、「現実逃避」とは、嫌な現実が消え去るくらい強烈に、好ましいイメージを頭の中で創りましょうという意味です。
キライな犬が近寄ってきて逃げられない…のであれば、
「目の前の動物は、世界にたった一匹しかいない愛すべき動物だ、そしてこの動物を見たり、鳴き声を聞いたり、触ったりすると運がよくなり、いいことが起こる…」と自分に言い聞かせる
キライな上司が近寄ってきて逃げられない…のであれば、
「目の前の人は、自分にとって運命の存在、この人が何をしようがどう言おうが自分にとって絶対に役にたつことしか起きない…」と強く思い込む
今から大勢の前でスピーチしなければならない、足はがくがく、口はカラカラ、手はブルブル…そんな時は、
「今、自分は人生最高のステージに立っている、目の前に人達はとてもあたたかい人ばかりで、緊張した自分でも、ありのままの姿を見たい、素直なの声を聞きたい、そして応援したいと思ってくれている…」と思い込む
など。いかがでしょう?
人によって感じ方が違うと思うので、上記の例はあくまで参考ですが、 実際には 自分に合った肯定的なイメージを普段から作っておき、いざその瞬間になった時に、上記のような「現実を凌駕するほどの自分にとって都合の良いイメージ」を創り出し、その中に身を投じる(アソシエイトする)ことで状態を変えることができるのです。
人間の脳は現実と創造の区別がつかないと言われています。
つまり、強烈なイメージは現実を超えることもあるのです。
どんな望まない状況にあっても、自分のイメージは自由にコントロールできます。普段からイメージの力を養って、いつでも最高の状態になれるよう想像力を鍛えておきましょう!
最後までお読みいただきありがとうございました。
ビジネスコーチ 森山洋光
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